ガイド / コスト
削り出しキーボードケースで、お金はどこへ行くのか
2026年9月21日
キーボードケースの見積は、1つの数字ではありません。切削時間、材料、仕上げ、治具、リスクの上乗せの合計で、価格に驚いたときは、ほぼ必ずこの5つのうち、気にしていなかったものが原因です。それぞれが何をしているのかを見ていきます。
買うのはケースではなく、ブロック
削り出しのケースは無垢のビレットから始まり、そのほとんどが切りくずになります。65%のトップケースは、重さ8 kgから12 kgの6061の塊から始まり、1 kgをわずかに超える重さで出荷されることがあります。ブロック全体の代金と、残りを削り落とす主軸の時間に、お客様は支払います。
だから、外形よりポケットの深さのほうが価格に大きく効きます。大胆にくり抜く設計は、誰にも見えない場所に材料を残す設計より、削るのに時間がかかります。アルミ価格の変動が、思ったより早くケースの見積に表れる理由でもあります。
段取りは、治具であり、リスクでもある
3回の段取りで削れる部品は、5回の同じ部品より安く、それは機械時間だけの話ではありません。部品を裏返すたびに治具かソフトジョーが必要で、各治具も設計して加工する必要があり、位置ずれが目に見える部品では、そのたびに位置を失う可能性が増えます。
加工会社は、切削の前にこれを見積もります。同じモデルの2つの見積が大きく離れている場合、通常の理由は、片方が3回段取りの仕事、もう片方が5回段取りの仕事と見ていることです。尋ねてみてください。その答えが、モデルについて何かを教えてくれることがよくあります。
加工時間と、必要な機械
キーボードケースの大半は3軸ミルで作れます。5軸は、一部のケースをより速く、一部のケースを可能にします。特に傾斜面やアンダーカットのあるケースです。5軸は1時間あたりのコストが高い反面、複数の段取りを1つにまとめられるため、安い機械が安い部品になるとは限りません。
外観面の送りと回転数は、機能面よりも遅くなります。工具痕が見えない仕上げのパスは、金属を速く除去するパスとは別物で、時間数に含まれる実際の工程です。
仕上げは、個数ではなくバッチ
アルマイトは、価格曲線が曲がるところです。槽には最小数があります。ラッキング、ブラスト、染色、封孔は、50個送っても200個送っても、ほぼ同じ段取りです。これが、200個の生産が50個よりずっと単価を下げられる主な理由で、数量なしの単価見積に意味がない理由です。
2つ目の仕上げは、2社目の外注先を意味します。PVDをかける真鍮ウェイトは、別の輸送、別の順番待ち、単独で遅れうる別の日程です。外注先が増えるたびに、コストと、より重要なスケジュールのリスクが増えます。
外観不良による廃棄は、話さなくても価格に入っている
細かいブラストをかけたアルマイトのケースでは、仕上げ後に見つかった傷は直せません。部品は素材に戻ります。加工会社はこの加工での廃棄率を把握しており、それを価格に含めています。
外観基準が厳しいほど、その上乗せは大きくなります。ここは意識して決める価値があります。「事務所の照明の下で、腕の長さで見える傷がない」は、加工会社が価格にできる基準です。「完璧」はできず、その結果は高い数字と、あとの言い争いです。
必要のなかった公差
ケース全体に±0.05 mmを付けると、0.5 mmで十分だった形状も含め、すべての形状が高くなります。仕上げのパスが遅くなり、検査が増え、廃棄が増えます。
実際に重要な形状を選んでください。ガスケットマウントのケースなら、通常はガスケット用の段、プレートのポケット、ネジのパターン、ポートの穴です。それ以外は通常の一般公差で構いません。この1つの変更が、どの材料の置き換えよりも見積を大きく動かすことがあります。
治具と初品
治具、ソフトジョー、特別な工具は、通常は1回限りの費用として見積もられます。追加生産には好都合ですが、最初のロットの見積を、友人が似たボードで払った2回目の価格と比べると、判断を誤ります。
治具費が別項目になっているかを尋ね、治具費が支払い済みなら、同じケースの追加生産はいくらになるかを尋ねてください。2回目を予定しているなら、重要なのはその2つ目の数字です。
実際に価格を動かすもの
安いケースにしたいなら、動かす力が大きい順におよそ次のとおりです。
- 数量を、次のアルマイトのバッチまで増やす。
- モデルの段取り回数を減らす。
- 負荷のかからない公差をすべて緩める。
- 材料と仕上げの経路を1つにする。
- 誰も見ない場所のポケットを浅くする。
- 加工会社に、より長く現実的な納期を与える。
合金の変更は、7075やチタンから離れる場合を除けば、期待ほど動かないのが普通です。
見積は同じ条件で比べる
どの加工会社にも、同じ内訳を求めてください。2つの数量で、切削、仕上げ、治具、試作、梱包、輸送です。1行だけ大きく違って見える見積も、行を合わせると、ほとんど一致するのが普通で、残る差が、尋ねる価値のある差です。
モデルと数量が固まったら、見積依頼フォームからファイルを送ってください。こうした加工を日常的に見積もっている加工会社にお届けします。
よくある質問
2社目の見積が1社目の2倍になるのはなぜですか。
通常は3つのどれかです。合金の違い、加工会社が治具の使い方を別に読んで段取り回数が違うこと、片方だけが外観基準を価格に含めていることです。各社に、切削、仕上げ、治具の内訳を出してもらうと、差の理由が見えてくるのが普通です。
大きいケースは、比例して高くなりますか。
比例どころか、最初は比例以上に上がります。TKLのケースは、65%より大きなビレット、長いストローク、長い除去時間が必要で、小さな機械には載らない場合もあり、見積を出せる加工会社の数が減ります。
設計の変更でコストを下げられますか。
はい。品質を動かさずに価格を動かせる、唯一の方法です。段取りの削減、ポケットを浅くすること、重要な形状以外を通常の公差にすること、2社目の外注が要らない仕上げにすることは、それぞれ見積から実際の金額を削ります。